
AYNが部品コスト高騰で「Thor」「Odin 3」の値上げとスペック変更を発表
Androidゲーム機市場を牽引するAYN Technologiesは、2画面デバイス「AYN Thor」およびフラッグシップ機「AYN Odin 3」について、部品コストの上昇に伴う価格改定と仕様変更を発表しました。AI関連企業による需要増を背景としたDRAMおよびストレージ価格の高騰が、メーカーの採算を直撃した形です。
今回の発表で最も注目すべきは、内蔵ストレージ規格の変更です。新たに予約受付が開始された「Thor Batch 6」および「Odin 3 Batch 7」以降のモデルでは、従来のUFS 4.0からUFS 3.1へとスペックダウンされます。公式ストアの表記もすでに書き換えられており、供給を維持しつつ出荷を継続するための苦渋の決断といえます。
この規格変更により、シーケンシャルリード速度は最大4,200MB/sから約2,100MB/sへと理論上は半減することになります。最新規格を前提に設計されていたフラッグシップ機において、ストレージ性能が「一世代前」の基準に引き下げられたことは、パフォーマンスを重視するユーザーにとって見過ごせない変更点です。
スペックダウンがもたらす実使用への影響と懸念
実用面では、特に大容量の資産を扱う用途で差が顕著になります。PS2やSwitch、あるいはPCゲーム等のエミュレーションにおけるタイトル起動や、大規模なエリア転送(ロード画面)にかかる時間が数秒〜十数秒伸びる可能性があります。また、ストレージアクセス時の電力効率についても、UFS 4.0は3.1に比べ大幅に改善されていたため、高負荷な運用におけるバッテリー持続時間への悪影響も懸念材料となります。
さらに、ローカルLLMの運用など、ストレージからメモリへ巨大なモデルデータをロードするような開発者・パワーユーザー向けの用途においても、ロード時間の増大という形でストレスが生じる場面が増えるでしょう。
Thor Maxは大幅値上げ、ラインナップの再編でコスト増を転嫁
価格面では、特に上位モデルへの影響が顕著です。2画面モデルの最上位である「Thor Max(16GB + 1TB)」は、従来の489ドルから549ドルへと大幅な値上げが実施されました。日本円換算では約7.5万円前後の大台に乗る形となります。
一方で、AYNは価格維持に向けた施策としてラインナップの拡充も図っています。値上がりした1TBモデルの代替案として、新たに16GB + 512GBモデルを469ドルで追加。BaseやProモデルについても、可能な限りの価格維持に努めるとしていますが、部品コストの動向次第では今後さらなる改定の可能性も否定できません。
供給維持を優先した現実的対応、発送時期は2026年6月中旬へ
現在、AYNは既存バッチの出荷を最優先で進めていますが、今回のスペック変更が適用される新バッチ(Thor Batch 6 / Odin 3 Batch 7)の発送は、2026年6月中旬ごろになる見通しです。
コミュニティでは、UFS規格のダウングレードを「実質的な妥協」と捉える向きもありますが、ポータブルゲーム機全体が深刻な部品不足に直面する中、販売停止を避けて供給を優先したAYNの対応は現実的であるとの評価もなされています。先行きの見えない価格高騰時代において、現行スペック・現行価格での入手期限が迫る中、ユーザーにはこれまで以上に迅速な購入判断が求められています。